刺客となった悲劇の皇后!日本神話のヒロイン・狭穂姫命と兄の禁断の関係【中】 (2/4ページ)
(さぁやれ……やるんだ!)
脳裏をよぎる兄の顔と声。そうだ、自分はこの夫への貞操よりも、兄への愛を選んだではないか。今さら後戻りなど、出来る訳がない……。
勇気を振り絞って短刀を振り下ろそうとする自分と、それを押しとどめる自分がせめぎ合うこと三度、垂仁天皇がふと寝言を口にしました。
「姫よ……愛しき我が姫君よ……」
今まさに自分がその「愛しき我が姫君」に刃を突きつけられていようとは、夢にも思ってはいないでしょう。とても安らかで、愛情と信頼に満ちた笑みを浮かべています。
(……やっぱりだめ!こんなにも深く私を愛し続けて下さった、この世に二人といない素敵な背の君を、我が手にかけてしまうなんて……!)
確かに兄・狭穂彦王への慕情は止めようがなく、最愛だったとは言えないかも知れない。それでもやはり、垂仁天皇の深い愛情を裏切ることは出来ませんでした。
「主上、申し訳ございませぬ……!」
兄と夫、そのどちらも裏切ってしまったことを恥じて、狭穂姫命は涙を流してしまいました。
垂仁天皇の見た夢と、どこまでも深い愛情狭穂姫命の涙は垂仁天皇の頬にかかり、それで垂仁天皇は目を覚ましてしまいました。