山吹の花から和歌に目覚めた戦国武将・太田道灌のエピソード (3/4ページ)
文武両道を究めた名将として知られた道灌は、その優秀すぎるがゆえに主君・扇谷定正(おうぎがやつ さだまさ)から妬まれ、「いつか下剋上(げこくじょう。クーデター)を起こされるかも知れない」という疑心暗鬼の末に暗殺されてしまいます。
暗殺の手口はなかなかえげつなく、まずは屋敷に招待して「旅の垢を落としなされ」と風呂へ案内し、サッパリした素っ裸を槍で突き殺すというものでした。
刺客は曽我兵庫(そがの ひょうご)と言いましたが、この兵庫がなかなか気の利いた(と言うか、ちょっと嫌味な)男で、道灌が和歌を嗜むことを知っていて、こう詠んだそうです。
「かかる時 さこそ命の 惜しからめ」
【意訳】さぞ悔しかろうな、こんな状況で殺されて……
槍をグリグリとねじ込みながら、今まさに敵を殺す昂揚感と同情を綯(な)い交ぜた表情で、兵庫は詠んだことでしょう。