山吹の花から和歌に目覚めた戦国武将・太田道灌のエピソード (1/4ページ)
人間、いくつになっても自分の勉強不足を恥じることは多いもので、そんな悩みは戦国武将であっても変わらなかったようです。
そこで今回は、文武両道の名将として知られた坂東の英雄・太田道灌(おおた どうかん)が、和歌の道に目覚めたキッカケとなったエピソードを紹介したいと思います。
山吹の花に込められたメッセージある時、外出先でにわか雨にあった若き道灌は、蓑(みの。雨具)を借りようと近くの農家へ駆け込みました。
「頼もう……この雨ゆえ、蓑を一つ拝借したい」
「……はい、ただいま」
すると奥から娘が一人出てきまして、家の裏から手折ってきたのであろう山吹(やまぶき)の枝を差し出しました。
山吹の枝を差し出されて困惑する道灌。月岡芳年「新撰東錦絵 太田道灌初テ歌道ニ志ス図」明治十九1886年
「ん?何じゃ?」
「……お恥ずかしゅうございまする」
娘はうつむきながらそう言うと、いっそう山吹の枝を差し出します。
「それがしは蓑が入り用なのじゃが……」
娘の意図がさっぱり判らないものの、こうまで差し出すからには「持っていけ」という事であろうから、とりあえず受け取ることにしました。