人間関係に対する男女の反応の違いが脳のMRI検査で明らかに(カナダ研究)
私たちにはそれぞれの人付き合いのスタイルというものがある。がっつりとプライベートゾーンに入り込んでくる人もいれば、一定の距離を保って付き合う人もいる。それは個人差によるものが最も大きいわけだが、国民性はもちろん、性差による違いもあるようだ。
新型コロナウイルスのパンデミック宣言が出された今、人と人の物理的距離を保つことが求められているようだが、『Science Advances』(3月18日付)に掲載された脳の性差に関するこれまでで最大の研究によると、現状のように人付き合いを控えたとき、その脳への影響には男女差があるようだ。
・社会脳――人間関係と脳の発達の関連性
マギル大学(カナダ)の研究グループが行ったのは、男女1万人以上の脳のMRIデータと、被験者の人間関係を比較して、それらが被験者たちの脳の体積に与える影響を明らかにすることだ。
きょうだいの有無、仕事での人付き合いの多さ、孤独感、一緒に暮らす家族など、人間関係は人それぞれで違うものだが、それは脳にどのような影響を与えるのだろうか?
――研究グループはこれを「社会脳アトラス(地図帳)」と呼んでいる。はたして、このアトラスに男女差はあるのだろうか?
この研究の背後にあるのは「社会脳仮説」という学説だ。これによれば、霊長類の脳が大きく発達したのは、その社会環境が複雑になり、それに対応する必要があったからだという。

Free-Photos from Pixabay
・社会的刺激に対する男女の脳の反応の違い
明らかになったのは、「扁桃体」や「側坐核」といった社会脳のホットスポットの中には、社会的刺激に対して、男と女でほぼ正反対の反応を示す部分があるということだ。
たとえば、人間関係が豊かで、社会的な刺激を強く受けている女性ほど、感情処理を司る扁桃体(AM)で変化が見られた。ところが男性の扁桃体には、こうした変化がほとんど確認されなかった。
一方、前頭葉の奥にあり、感情認識に関連するとされる「前頭前野腹内側部(vmPFC)」は、一人暮らしかそれに近い生活する男性に強い影響が見られながら、女性ではほとんど影響のなかった部位だ。
また社会性に乏しい生活を送る男性の場合、側坐核(NAC)のような報酬と関連する社会脳にも似たような影響があった。

一方で社会的つながり乏しい女性は(友人の数が少ない、または社会的支援が少ないなど)行動や感情的な反応で役割を果たす脳の部分の総称である大脳辺縁系に影響があることがわかった。

・なぜ男女で脳への影響が異なるのか?
ダニロ・ブズドック博士によれば、友人・家族・仕事といった社会環境に対応する方法が男女で異なっていたことが、脳のそれぞれ別個の適応や、特定の行動学的傾向につながったのかもしれないという。
男と女は等価でありながら、等質ではないということなのかもしれない。
References:Brain scans reveal how men and women respond differently to relationships/ written by hiroching / edited by parumo