長嶋茂雄と王貞治…愛と憎しみのライバル秘話 (5/5ページ)

日刊大衆

投手としての王は、重い速球と大きく割れるカーブ、ときおり投げるドロップがさえていたが、コントロールは悪かった。そこで久保田から、メジャーのワールドシリーズでノーヒットノーランを達成したヤンキースのドン・ラーセンのフォームを真似るよう、勧められている。

 投手として臨んだ春の選抜。2度目の甲子園は、エースとしての出場だった。決勝は高知商の小松俊広(後に巨人で同僚)と投げ合いになる。王は、「左手の中指の爪が割れて痛かった」と試合後に語ったが、血だらけの指で投げ続けていたのだ。捕手が、「ボールを代えてください」と言って手渡した白球は、朱に染まっていたという。球審は驚いて、「大丈夫なのか?」と尋ねたが、王は気丈に完投。“血染めのボールで優勝”と新聞は書き立てた。

 実は王は、準決勝の久留米商戦で、すでに左手の爪を割っており、息子のアクシデントを知った王の父親が急遽、甲子園に駆けつけていた。王の父親は、宿舎で生のニンニクを噛み砕き傷に塗ったという。

 優勝を決めたのは、王の一塁への牽制球だった。王が引っ張る早実は強く、2年の春夏、3年の春と連続で甲子園出場を果たし、2年生の夏にはノーヒットノーランも記録した。王は、高校野球の“金の卵”として、プロのスカウトから注目を集めるようになっていた――。

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