美しすぎた故の不幸…戦国時代、禁じられた悲恋に命を散らした少女・初音姫 (3/4ページ)
それでも玄蕃允を諦め切れない初音姫はどうにか脱出(牢番を買収でもしたのでしょうか)、最後の力を振り絞って一艘の小舟を漕ぎ出します。
……が、弱り切った少女の細腕では熊野灘の荒波を乗り越えられず、小舟はあっけなく浜辺に押し戻されてしまいます。もはや陸路を突破する気力も残っていません。
「……人々はわたくしを美しいと褒めそやしたが、その美しさが我が身の不幸を招いたのであれば、二度とこの里に美しい娘が生まれませんように」
そう念じた初音姫はそばの井戸へ身を投じ、短い生涯に幕を下ろしたのでした。
エピローグ以来、この里には美女が生まれなくなったそうで、初音姫の亡骸は藤九郎の刀から身を守ったお地蔵様の近くに埋葬されたと言われています。