ザ・キャバレー「栄枯盛衰」回顧録(1)歌舞伎町“伝説の支配人”の62年間 (2/2ページ)
黒服の面接でマネージャーが『キミはケンカが好きかね?』と問い、『好きか嫌いかは別にして、学生時代はけっこうやりました』と答えると『キミは将来性があるね。明日からボーイさんをやりなさい』って(笑)」
吉田氏の話では、単純にケンカが好きなら合格というものではなく、大切なのは「負けじ魂」だという。華やかな世界の一面、強い意志と根性がなければ務まらない世界だったのだ。
「今では考えられませんが、キャバレーはどんな人間でも受け入れた。基準はやる気があるかないか。相手に前科があっても、入れ墨があっても指がなくても─。もっとも、指がない場合はお客さんの前に出すワケにはいかないので、カウンター専門でしたがね。そういった中には、耐えられずヤクザの世界に戻った人もいますが、根性と才能を見せて一国一城の主にまでのし上がった人もいる。文字どおり、実力社会なんですね、キャバレーは」
外にはホステスという華、内には黒服という龍を秘めた男たちによって、キャバレー業界全盛期は牽引されていったのである。