世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第368回 現金給付とピンハネ税 (1/3ページ)

週刊実話

 乏しい経済対策に国民からの批判が殺到し、安倍政権は閣議決定済みの16兆8000億円(=新規国債発行16兆8000円)を組み換え、国民一人当たり10万円の現金給付を含む総額25兆7000億円の補正予算を「再」閣議決定した。一度、閣議決定された予算が組み替えられること自体が前代未聞なのだが、さらに「新規国債発行(約9兆円)」が追加されたわけで、まさに驚天動地である。

 ところで、ようやく決まった国民一人当たり10万円現金給付について、一部の政治家が愚かな発言をしている。例えば、菅官房長官は4月20日の記者会見で、給付金について自身が受け取るかどうかを問われ、
「常識的には(申請は)しないと思う」
 と述べた。

 いや、常識的に政治家は必ず給付金を申請し、その全額を消費に使わなければならない。菅官房長官が10万円を使ったとき、必ず「別の国民」の所得が創出されるからだ。

 国民が所得激減に苦しんでいる以上、申請しない、あるいは預金するという選択肢は、少なくとも政治家の場合はあり得ない。繰り返し本連載で登場している、国民経済の五原則を改めて読んでほしい。

1.国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。
2.国民経済において、貨幣は使っても消えない。誰かの支出は、誰かの所得である。
3.国民経済において、誰かの金融資産は、必ず誰かの金融負債である。
4.国民経済において、誰かの黒字は、必ず誰かの赤字である。
5.現代において、国家が発行する貨幣の裏づけは「供給能力」である。

「貨幣は使っても消えない。誰かの支出は誰かの所得である」

 筆者は、この単純な事実を10年以上前からしつこく繰り返してきた。例えば、国民のルサンチマンに煽られ、政治家が公務員給与を削減したところで、国民の所得は1円も増えない。それどころか、給与が少なくなった公務員が消費を削減するため、財やサービスを生産している我々国民の所得は減ってしまう。ところが、我が国ではデフレという消費不足、所得不足の状況で、ルサンチマンにまみれた公務員叩きが続いた。

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