戦国時代、結婚を拒んで壮絶な最期を遂げた悲劇の美女・藤代御前の怨霊伝説【下】 (2/5ページ)
「……来ましたね……」
敵の大軍に動じることなく、戦う覚悟を決めた藤代御前(イメージ)。
ただならぬ事態を察した藤代御前は、いざとなれば館に立て籠もるべく、全員に戦支度を命じます。
馬蹄の響きは次第に近づき、やがて館を取り囲むように静まりました。闇の中で、馬の嘶(いなな)きや甲冑のガチャガチャと鳴る金属音が犇(ひし)めいています。
「何用ですか!」
俄かづくりの物見櫓に上がった藤代御前は、迫り来た大軍を問い質します。大軍の主は、言うまでもなく為信でした。
「藤代の!これが最後通告ぞ……そなたを我が妻に迎えよう。もし望むなら正室に挿(す)げ替えても構わぬ……否と申さば、我が軍勢がそなたらを一呑みにしてくれようぞ!」
きっと(お高くとまった)藤代御前は、側室という地位が嫌だったのだ。ならば、正室にしてやると言えば、首を縦に振るはず。念のため、武力による脅しも忘れずに……そう思っての実力行使でしたが、やはり藤代御前は拒絶しました。
「バカめ!……と言って差し上げますわ」
確かにあなたは、偉いのかも知れない。強いのかも知れないし、賢いのかも知れない。