コロナの時代のMMA、長南亮は新しい時代の確立に踏み出している (2/6ページ)

日刊大衆

「あの時は欧米がこんな風になるとは思っていなかったですし、自分と同じようにセコンドでシンガポールにいた大沢(ケンジ)と、『ジムは閉めない』って話をしていたんですよね。空港や飛行機に乗ったり、シンガポールにいるほうが普段の生活より怖いっていう感覚でしたからね」。誰もが長南と同じような想いだったはずだ。知っての通り、それからの1ヵ月で世界も日本も、そして長南が経営・指導するTRIBE TOKYO M.M.A(以下、TTM)もーー日常が一変してしまった。

 長南自身、他の多くの同業者と同様にジムの休館を決めた。経営者としては収入を断たれる事態だが、練習生が道場内だけでなく移動中にでも感染し、そこから二次、三次感染するリスクを避けるためには当然の決断だった。ただし、TTMには一般会員だけでなく昼のプロ練習が存在している。

 現在、ONEフライ級で活躍中の若松佑弥を筆頭に、先に挙げた同じくONEで戦う三浦、ONEの人材育成大会=WARRIOR SERIESに参戦中の工藤諒司、国内組も修斗やパンクラスのレギュラーである清水清隆、小川徹、石井逸人、後藤丈治らが彼の指導を必要としていた。彼らばかりか、これからデビューを迎えるプロの卵たち、出稽古を行う国内トップ選手たちにとっても強くなるためにTTMのプロ練習は欠かせない。

 とはいっても、格闘技は典型的な濃厚接触だ。3月から4月、そして5月と次々のプロ・アマ問わず格闘技大会は中止され、緊急事態宣言期間中に灯りがついているだけでヒステリックな抗議の電話を受けたジムもあった。そんななか長南は、プロ練習を続けた。

「アイツらプロ格闘家ですから。強くなることが仕事です。家で腕立てやっていて強くなれるなら世話はないですよ。感染するリスクはスーパーでも電車の中でも、飲食店にだってある。手洗い、うがい、道場内の消毒をしっかりとして練習する。それがダメというなら法律を盾にロックダウンすれば良い。そうでないなら『やる』、『やらない』は自分で決めることです」

 字面だけ読めば反社会的と取られかねない言葉だが、格闘技を生業としている彼には一切の迷いが感じられない。だからこそ、選手が練習する場を残すだけでなく、試合という実戦の場を創る努力も惜しまなかった。

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