エビの性別操作技術で養殖を完全に持続可能なものに(イスラエル) (2/4ページ)

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そのために、従来は屋外の広いスペースでしか行えなかった養殖が、屋内の狭い水槽でも可能になり、コストは大幅に低減される。


・メスしか産まないスーパーメス

 エビの性別は、ホルモンを作る器官が染色体シグナルを読み取ることで決まる。これは、人間のX染色体とY染色体にも似ているのだが、少し違うのはエビの母親もまた子供の性別を左右することができるという点だ。

 Enzootic社の技術は、この特徴を利用する。

 まずはオスからホルモン生産器官を摘出し、これを個々の細胞にまで分解。それらの細胞を若いメスに注射すると、そのメスは本来の染色体とは無関係にオスとして成長する。

 このオスのようなメスは、普通のメスと同じく子供を作ることができるのだが、その子供の中に不思議な能力を持つものがいる。それが「スーパーメス(super female)」と呼ばれる子供たちで、彼女らが産む子供は、染色体にかかわらず絶対にメスになるのだ。

 スーパーメスは遺伝子を調べればすぐに見つけられるので、それを選別すれば簡単にメスだけを増やすことができる。

オニテナガエビ
NexTser/iStock

 また同様の技術を応用すれば、オスだけを産むメスを作ることもできる。養殖では厄介者のように思えるオスだが、じつはメスのいない広いスペースでなら生産性を上げるのに役立つ。

 そうした環境ならば、オス同士がメスを巡ってケンカをすることもなくなるので、その分のカロリーが成長に回るようになる。その結果、生産性が45%向上するうえに、アジアでは大きなエビが好まれることから販売価格は5、6割上がる。

 エビの遺伝物質に手が加えられるわけではないので、いわゆる遺伝子組換え生物にまつわる懸念と無縁なのもメリットだ。

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