エビの性別操作技術で養殖を完全に持続可能なものに(イスラエル) (1/4ページ)
オニテナガエビの性別操作 NexTser/iStock
イスラエルのネゲブ砂漠に囲まれた研究所の中では、青い足を持つエビたちが暮らしている。ここで飼育されているエビは、「オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii)」という体長28cmほどの淡水産の大型種だ。
水槽の中にいるエビはいずれもメスばかり。
というのも、特殊な性別操作技術で生まれてきたからだ。
その技術は、いずれ世界中で持続可能なエビの養殖を可能にするかもしれないと期待されている。
・養殖が難しいオニテナガエビの性別を操作、すべてメスに
オニテナガエビは、タイ、マレーシア、ベトナムなどでは養殖もされており、エサを与えればすぐに大きくなるという育てやすさがある一方、生息できる水温が26~30度と限られているために、他の地域での養殖普及は進んでいない。
またオスは縄張り意識が強く、狭い場所だとメスを巡って喧嘩をしてしまう。そのために、それなりに広い場所がないときちんと成長してくれないことも、養殖が広まらない要因だ。
オニテナガエビ cowboy5437/iStock
そうした問題を解決したのが、イスラエルのアグロバイオベンチャー「Enzootic社」がネゲブ・ベン=グリオン大学と共同で開発した養殖技術だ。
その技術は、化学物質の投与も遺伝子操作も行わずに、エビの性別を操作してメスにすることができる。
メスは攻撃性が低く、大きさも均等であるために、密集した環境でもきちんと育ってくれる。