“ムエタイ・キラー”は格闘技ジムの「あるべき姿」と向き合っている(前編) (4/5ページ)

日刊大衆

上京してからは東日本大震災に遭遇し、電信柱が揺れるのを目の当たりにした。あの時は自分が生きている中でこれ以上の災害に遭うことはないと思っていたけど、コロナは完全にそれを越えてしまった」

 コロナは人間関係にもひずみを起こしていると感じている。

「対処法がハッキリとわからないので、みんな何をしたらいいかわからない。そういう中で人を疑ったり、誹謗中傷に走ったりする人も出てきた。人が人を信じられない社会で生きることはものすごく悲しい」

 鈴木は中学時代に不登校を経験。自宅に籠もり、漫画やゲームに没頭するような少年だった。しかし高校時代にキックボクシングと出会い、孤立しがちだった人間関係は劇的に変化したという。

「キックを通して、初めて仲間や応援してくれる人がいることを知りました。いまはAIの時代になったけど、生きていくということは最終的には対人間だと思うんですよね」

 痛みとともに感動、勇気、そして喜びを分かち合えるキックボクシング。だからこそ鈴木はこの競技を通して格闘技の素晴らしさを世に伝え、人が人を信じられる健全な社会に再生されることを切に願う。

「マスクをつけてもらったら会員さんはみんな苦しいというけど、その一方で『やっぱりキックをやることはうれしい』とも言ってくれる」

 取材は真夜中だったが、電話ごしにSTRUGGLEに集う会員たちの笑い声がかすかに聴こえた気がした。

 後編では、ジムを代表する選手の1人、ぱんちゃん璃奈の近況を中心にお伝えする。

(取材・文=布施鋼治)

鈴木秀明 鈴木秀明

鈴木 秀明(すずき ひであき)

1976年1月1日生まれ。愛知県瀬戸市出身。ムエタイ&キックボクシング「STRUGGLE」代表。

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