レジェンドのルーキー時代「長嶋茂雄と王貞治」永遠ライバル愛憎秘話 (5/5ページ)
かつての巨人の4番で初代三冠王にも輝いた中島治康は、こう太鼓判を押した。〈高校生離れのバッティングをしていた坂埼一彦がいまだに巨人の中心打者になれないでいるが、王はあらゆる面で坂埼以上のものを持っている〉
オープン戦の初戦は2月28日、近鉄戦だった。王は8番右翼で先発出場し、3打数2安打3打点と大暴れ。「最初の打席はなんともなかったが、2打席目の2-3から急にヒザが震えた」とは、初のオープン戦を終えての王の感想だ。
オープン戦24試合のうち試合に出場し、76打数18安打、11打点。打率こそ2割3分に終わったが、5本のホームランが目を引いた。特に、3月22日の南海戦で長光告直から放った一発は、スコアボード右を直撃する特大アーチだった。これを見た與那嶺は、ベンチにいた長嶋に、「オレは外野に戻るよ。一塁は王のものだろうから」と耳打ちしたという。「ホームランは5本、三振も21個あるけど、まずまずだね。これならプロで通用する……と思ったのも無理はない数字だよね。ところが、あにはからんやだよ。オープン戦は “調整の場”だったってことを知らなかったんだ……」
こう王は述懐している。公式戦が始まると、対戦した投手の球は見違えたというのだ。キャンプ、オープン戦で自信を手にしたゴールデンルーキーの王だったが、ペナントでは厳しい現実が待ち受けていた――。