レジェンドのルーキー時代「長嶋茂雄と王貞治」永遠ライバル愛憎秘話 (2/5ページ)

日刊大衆

二軍で実績を残し、長嶋が入団する前年には一軍での登板も経験していた。

 守備では調子の上がらなかった長嶋だが、バッティング練習では、三遊間に2本の安打を放つ。二軍の打撃練習にも参加し、ここでもヒット性の当たりを連発して首脳陣を喜ばせた。ふだんは一軍の練習が終わると帰ってしまう報道陣も、全員残って長嶋の一挙一動を追っていた。球団関係者は、改めて長嶋の人気ぶりを目の当たりにした。

■川上哲治に代わって4番に

 明石のキャンプが終わり、オープン戦が始まった。3月1日の阪急戦は、あいにく雨が降る悪天候だったが、高知市営球場には開場前から大勢のファンが並んだ。5時から並んで当日券を求めたファンもいたという。

 第1打席は三振。第2打席は中飛。長嶋が凡打するたび、阪急ベンチからは「それでも“日本一”か!」とヤジが飛んだ。これは、長嶋の契約金が史上最高額であったことを皮肉ったものだった。ところが、6回無死満塁のチャンスで、長嶋はエースの梶本隆夫からレフト前に逆転のタイムリー。値千金の一打で、阪急ベンチを沈黙させる。

 続く高松(香川県)での試合では、森口哲夫から、9回に左翼にライナー性のホームラン。オープン戦ではあるが、これが“ミスタープロ野球”長嶋茂雄のプロ初ホーマーだった。

 9日には大阪球場で南海戦に臨んだ。ここで水原監督は、長嶋を4番に据えて、川上哲治を5番にするオーダーを初披露した。球場のアナウンスを聞いたファン、報道陣はどよめいたという。無理もない。川上は昭和15年以降、巨人の不動の4番打者だったからだ。14日の南海戦では、長嶋を3番にして川上は4番に戻るが、ファンには“川上時代”が終わろうとしていることを予感させた。

 この試合で、長嶋は立教大の同期である杉浦と初対戦している。1回は中飛に打ち取られたが、2打席目には杉浦のストレートを振り抜いてセンター前にクリーンヒット。両者、痛み分けの結果となった。この試合は延長にもつれ込んだが、長嶋は延長10回に皆川睦男からレフトスタンドを超えて場外まで飛ばす特大ホームランを放ち、両軍ベンチの度肝を抜いている。

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