現役システム開発企業社員が共作 SEの世界がわかるサスペンス系IT小説 (3/5ページ)
――執筆の役割分担はどのようにしていたのでしょうか?
鎌田:最初はみんなで物語の骨子を作って、それにそって執筆者が書いていくわけですが、やっていくうちにそれぞれの癖とか得意なことが見えてくるんですね。だから、たとえば「女性同士の会話のところは女性に書いてもらおう」とか、「技術面について書くところはその技術に詳しい人に書いてもらおう」など、場面ごとに得意そうな人に執筆をふっていきました。
こういうチームで分担して制作していくやり方って、システム構築のプロジェクトと通じるものがあるんですよね。普段の仕事の方法論が小説執筆にも生きていると思います。
――普段の仕事がいそがしいなかで小説を書くのは大変そうです…。
鎌田:そうですね。そこは睡眠時間とかプライベートの時間を削って…(笑)。
ただ、ITの仕事って、たとえば橋や道路を作るのとはちがって、なかなか成果が目に見えないんです。それを小説という目に見える形で残すというのは、私たちにとってはプライスレスな体験で、やりがいはありました。
――物語は、主人公の花が研究開発の部署から、異動で実地のシステム開発の現場にやってきて、いきなりリーダーを任されるところから始まります。大役だなと思いながら読んでいたのですが、こういうことは現実にも起こりえるんですか?
堀江:ITの世界は変化のスピードが速いので、1つのことに10年間じっくり向き合えることはそんなにないんです。研究を何年かやった人が「現場を体験していらっしゃい」と現場に配属されたり、現場をやっていた人がもっと技術を深く掘り下げたいから研究に行ったり、といったことは珍しくありません。
いきなり現場に放り込まれた花は大変だけど、後から振り返るといい経験になるんじゃないでしょうか(笑)。