歴代総理の胆力「福田康夫」(1)「政権振り子理論」により担ぎ出された (2/2ページ)
結局、ヤル気十分の麻生を制して福田が勝ち上がるのだが、このときの総裁選の背景を、当時の自民党ベテラン議員は次のように語っていたものだった。
「麻生は、政治信条としては安倍に近い。対して、福田は父親同様の“親中派”であるように、ハト派的体質だ。結局、これが勝負を分けた。年齢的に若い安倍に対して、福田は年を重ねて安定感がありそうだというのは、国民の大方の見方でもあった。同時に、各派閥の領袖は安倍と体質の似た麻生でなく、対岸に位置する“福田乗り”となった。福田は当初、総裁選出馬に意欲がなかったが、各派の支持が傾いたことで、『それなら』ということになった」
こうした各派の動きは、自民党が長期政権を維持してきた「政権振り子理論」ということでもあった。すなわち、例えば政権をタカ派からハト派へと“色”を変え、時計の振り子のように振れ幅を大きくした政権の体質変化を提示することで国民の歓心、支持を買うという“手法”であった。自民党お得意のこの「政権振り子理論」により、担ぎ出されたのが福田康夫政権ということだったのだ。
■福田康夫の略歴
昭和11(1936)年7月16日、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、丸善石油入社。父・福田赳夫の秘書、首相秘書官を経て、平成2(1990)年2月、衆議院議員初当選。小泉内閣官房長官を経て、平成19(2007)年9月、内閣組織。総理就任時71歳。現在83歳。
総理大臣歴:第91代 2007年9月26日~2008年9月24日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。