源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【二】 (3/6ページ)
とは言っても、頼朝が挙兵する噂くらいは聞き知っていたでしょうに、その頼朝に親しく仕えている藤判官代に対してこの腋の甘さ……兼隆の危機意識にも、ちょっと問題があったように思います。
さてそんな中、藤判官代の占いによって「挙兵は8月17日、寅卯(とらう)の刻が吉」と出ました。
寅卯の刻とは、季節によって微妙な違いはあるものの、ざっくり午前3:00~5:00ごろ。要するに「夜明け前の、徹夜組は眠気がたまり、就寝組もまだ目が覚めにくい絶妙な時間を狙えば有利だよ!」と言ったところでしょうか。
いよいよ初陣だ……そわそわしている宗時と義時のところへ、父・時政がやって来ました。
「おい。佐殿よりそなたらに、重要な話があるそうじゃ……ひとりづつ行って参れ」
いったい何の話だろう……先に行った宗時の背中を見送りながら、義時は無性にドキドキしてきました。きっと武者震いです。そうに違いありません。
「お前にだけは言っておく……」頼朝の告白「……戻ったぞ」
頼朝の話が終わり、戻ってきた宗時は、平静を装いつつも明らかに興奮しており、頬など少し赤らんでいるようです。
「兄上、いったい何の話を……」
「知らぬ。そなたには、そなたへの話があろう。とにかく、行って参れ」
「はぁ」
いつも冷静な兄上が、あそこまで興奮する話とは一体……そんなことを思いながら部屋に入ると、燈火一つだけ点いた薄暗い中で、頼朝が待っていました。