源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【二】 (4/6ページ)
「……参ったか」
「はぁ」
さぁ、何の話があるんだろう……ドキドキした義時ですが、なかなか口を開いてくれません。
「あの……お話しとは……」
ジリジリと燈火の燃える中、いよいよ焦れた義時が、黙りこくったままの頼朝に訊ねます。両者の間合いはおよそ一間。大股なら一歩、心理的な圧迫感もあるかないかという微妙な距離です。
「……小四郎!」
次の瞬間、山のように鎮座していた頼朝が片膝を立てて身を乗り出し、義時を押し倒さんばかりにその両肩を掴みました。
(近い近い近い近い!)
いったいぜんたい何事か、こんな時に、いやこんな時だからこそ、そんな「ご趣味」を明かされるのか……いやいや近い近い近い近い!……すっかり動揺した義時に、頼朝は言いました。
「これまで誰にも言わずに来たが……此度の挙兵、そなたら兄弟だけが恃(たの)みだ」
「は、はぁ」
鼻先が触れ合いそうな近さの頼朝を前に、話の中身など何も頭に入りません。それから何か言われたようですが、夢かうつつか判らぬまま、義時は退出。フラフラと宗時の元へ戻ります。