歴史を変えた“戦国めし”を再現「信長は“湯漬け”をかっこんで桶狭間へ」 (3/3ページ)
ところが、
「雑兵たちの中には、腰にぶら下げて発酵させ、ほとんど酒にして飲んじゃうヤカラがいたから、4日目にならないと米は支給しなかったんですね」(桐畑氏)
織田信長は今川義元との桶狭間の戦いに際し、玄米に湯を注いだだけの「湯漬け」を立ったまま食べて出陣したという逸話がある。
「メシに時間をかけないという、せっかちな信長の性格がよく出ていますね」と桐畑氏は分析するが、返す刀で河合氏は、
「そんなイメージが強いんですが、あらためて『信長公記』を読むと、ここではただ『立ちながら食事をとられる』としか書いてない。『湯漬け』を食べたというのは、のちの創作と考えられますね」
では、ここぞという戦の前に、武将たちは何を食べたのだろうか。
「当時の出陣式のしきたりが記録に残っていますが、軍師が準備をした出陣式で大将は、『勝栗(かちぐり)・打鮑(うちあわび)・昆布』を『三献(さんこん)』として、これらを1つずつ食べ、盃の酒を3度に分けて飲む儀式を行いました。つまり『敵に打ち勝ち、よろこんぶ』という語呂合わせで縁起を担いだ。栗は米とほぼ同じくらいのカロリーがあり、ミネラルが豊富でビタミンA、B、Cも多く含まれる。風邪の予防にも効果があるし、鮑は高血圧、肥満の予防にいい。アルギニン、タウリンなどを含んで肝機能や視力に効果があり、現代の栄養ドリンクにもこれらの成分が配合されています。いざ出陣という時にエネルギーをチャージするという、理にかなったものだったと言えます」(河合氏)
栗、鮑、昆布の3つは、単なる語呂合わせではなく、必要不可欠な栄養素の補給でもあったのだ。
河合敦(かわい・あつし)1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。多摩大学客員教授。早稲田大学非常勤講師。歴史作家・歴史研究家として数多くの著作を刊行。テレビ出演も多数。主な著書:『早わかり日本史』(日本実業出版社)、『大久保利通』(小社)、『繰り返す日本史 二千年を貫く五つの法則』(青春新書)など。
桐畑トール(きりはた・とーる)1972年、滋賀県生まれ。滋賀県立伊香高校卒業後、上京しお笑い芸人に。2005年、オフィス北野に移籍し、相方の無法松とお笑いコンビ「ほたるゲンジ」を結成。戦国マニアの芸人による戦国ライブなどを行う。「伊集院光とらじおと」(TBSラジオ)のリポーターとしてレギュラー出演中。現在、TAP(元オフィス北野)を退社しフリー。