2021年のオリンピック開催は是か非か コロナ禍で問い直されるスポーツの意義 (5/6ページ)

新刊JP

この大会の閉会式では、「平和の祭典」とされるオリンピックを象徴するような光景が見られた。国ごとではなく、選手たちが国籍も人種も性別もなく、一斉に国立競技場に入場し、のちに東京方式と呼ばれることになる「平和の行進」である。後の大会でもすっかり恒例となったこの式次第だが、昭和天皇・皇后も臨席された競技場に整然と入場する段取りだったところ、まったく偶発的に起きた「予期せぬハプニング」にだとされてきた。ところが、本書では、この説を覆す、ある証言が明らかにされている。

「みんなが、当たり前の光景として見ていた平和の行進の裏に、松澤のスポーツへの思いや、選手を失った無念の気持ち、戦争への悔いなどが凝縮しているのがわかった時、五輪とは何なのか、スポーツとは何なのかという問いへの答えを見つけた気がしました」(大鐘さん)

そう、1964年の東京オリンピック閉会式の「平和の行進」は、松澤一鶴によって仕組まれたものだったのである。そのいきさつと松澤の計画については、ぜひ本書を読んでいただくとして、大鐘さんはどんな答えを見つけたのだろうか。

「‶平和の祭典〟といっても、五輪はシンボルでしかありません。だから、五輪自体が平和に寄与するかどうかはわからない。ただ、アスリートたちが懸命に走り飛び投げる、スポーツに取り組むことで生まれた生のドラマを見た時の感動は、国籍や人種、民族を超えて共有できるもので、もしかしたら‶その瞬間〟だけは、世界が同じ感動で結ばれることはできるのかもしれません。それは、平和への願いと相通じるものだと思っています」(大鐘さん)

「シンボル」であるがゆえに、五輪は常に時代の空気に染まってきた。では、2021年の五輪は、もし開催されるならどんな大会になるのだろうか。大鐘さんは最後にこんな話をしてくれた。

「2021年のオリンピック開催は是か非か コロナ禍で問い直されるスポーツの意義」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る