『全裸監督』脚本家・山田佳奈が描く「親の介護・相続・セックスレス…令和の家族と“正義”」 (4/5ページ)

日刊大衆

小説ではお父さんが失踪しますが、失踪ってまだ安否の結果が出ていないぶん、家族にとってはかなりしんどいと思うんです。そういう感情に作品で向き合えたことは、私にとっても大きなことでしたね」

 母の死がきっかけになり「他者に対してものすごく想像力が働くようになった」と語る山田佳奈。小説では兄弟同士の感情のもつれあい、それぞれの正義が表面化していく。だからこそ、「他者に対する想像力」は大事なのかもしれない。もちろんそれは、家族に対してだけではなく、周囲の人やまるで知らない人に対しても同じだろう。

■「まずは、相手の正義を想像してみて、相手の正義を認める」

「たぶん、誰にでも優しさや正義があるはずなんです。ただ、人の声を聞く余裕があるかないかによって全然違ってくると思うんですよ。私が最近、残念だと思うのは、SNSで意見が違う投稿だったりとか、発信側がそういうイメージでいっていないのに、文字面だけ切りとって過剰に反応してしまうケースが増えている気がして。相手がどういう感情でそういう言葉をいっているかで受け手が相手のことを想像して咀嚼したほうがいいし、逆に受け手がどういうふうに思うかを発信側も想像して、本当に投稿していいのかどうか躊躇しなくてはいけないと思うんです。

 誰しもが、自分の主張をするときに、それはその人にとって正義だけど、ただ正義の在り方は人それぞれ違う。正義同士でもめているから、どっちも悪くないのに争いになっているように見えてしまうんです。それがきっと社会がうまいっていない理由なのかなと思いますね。時代は、いまいろいろなものごとがかわっていく転換期に入っているけど、そこがまだスムーズにいっていない。まずは、相手の正義を想像してみて、相手の正義を認める。それではじめて自分の正義も他者から認められると思うんですよね。家族も同じで、それこそ家族は最小単位の社会ですから、やはり相手の正義を理解することからはじめられればいいのかな、と思いますね」

 では、誰しもが「他者の正義」を認めるようになるには、どうしたらいいのだろうか。

「やっぱり経験は大事なんでしょうね。他者の正義を想像することを他者とのかかわりを経て感覚として知っていく。

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