『鬼滅の刃』と『進撃の巨人』2大傑作「3つの共通項」と相反する魅力! (3/4ページ)

日刊大衆

古今東西さまざまな復讐物語が紡がれてきたように、“仇討ち”というテーマは、どこか人々の心をくすぐる魅力を秘めているのかもしれない。

 2つ目の共通点は、「根底に流れる身分格差と弱肉強食論」である。

 日本の大正時代を舞台とする鬼滅は、背景に当時の人々の貧困や過酷な児童労働の実態などがかいま見える。また、恐らくこれからアニメ化されるであろうが、遊郭の最下層で生まれた十二鬼月の上弦の陸、堕姫・妓夫太郎の兄妹パートなどは、作品の根底を流れるこれらのテーマが顕著にあらわれている。

 さらに、強くなければ出世ができないどころか、頂点に君臨する絶対権力者に少しでも逆らえば“死”が訪れるという十二鬼月という組織自体も、現代に置きかえれば究極のブラック企業であり、身分格差の最たるものといえよう。

 一方、進撃の世界はもっとわかりやすい格差社会だ。中央権力に近いほど安寧が保障され、最も壁に近い外側に住むのは、貧しくて巨人の“おとり”にされる人々。そして、圧倒的な力を持つ巨人を前に、弱き者、判断力に劣る者、運の悪い者…たとえ読者からどんなに愛されたキャラクターだとしても、容赦なくバタバタと死んでいく。ヒロイン・ミカサを覚醒させた“勝てなきゃ…死ぬ…勝てば生きる…戦わなければ勝てない…”というエレンの有名な台詞があるが、これはまさに弱肉強食論そのものだ。

■3つ目の共通点......そして2作品の決定的な違いとは?

 3つ目の共通点は、「人間対人間の構図」である。

 鬼も巨人も、神がつくりたもうた無為自然の存在などではなく、もとは人間。人を食らわなければ生きられない鬼や巨人にも、かつて人間だった時代があり、(一部生まれながらのサイコパスキャラは除き)それぞれ強者に組み敷かれてきた事情や、天を恨みたくなるような悲しいバックグラウンドが存在する。物語のスタート時は単なる“悪者”として描かれる鬼や巨人だが、物語が進むにつれ世界が反転し、「人間対人間」の構図へと徐々に変化していく。正義とは、善悪とは一体何なのか。そんな問いを読者に突きつけてくるところも、両作に共通している。

「『鬼滅の刃』と『進撃の巨人』2大傑作「3つの共通項」と相反する魅力!」のページです。デイリーニュースオンラインは、吾峠呼世晴鬼滅の刃諫山創スタジオジブリ千と千尋の神隠しエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る