「理想の女性」にただ一つ欠けていたもの…源氏物語の正ヒロイン「紫の上」の憂鬱【下】 (4/6ページ)
しかし、女三宮は紫の上と同じく、光源氏にとって永遠の憧れであった「藤壺(※この時点で故人)」の姪に当たるため、「その面影を受け継ぐ者を、他の誰にも渡すものか!」とばかり結婚を承諾してしまいます。
「あっ……」
亡き母(桐壺更衣)に生き写しだった藤壺中宮との遠い思い出。尾形月耕「源氏物語五十四帖 帚木」より。
彼は出逢ってこの方、今日に至るまで、私を十分過ぎるほど愛してくれたけど、彼が見ていたのは「私」ではなく、永遠の憧れである彼女との「紫(ゆかり)」に過ぎなかった……女三宮との結婚を知った紫は、すべてを察してしまったのでした。
一方の光源氏も、いざ正室に迎えた女三宮は確かに美しくはあるけれど、かの藤壺とは似ても似つかぬ顔立ち。加えて父帝より過保護に育てられたため、いささかおっとりと幼過ぎて、とても女性として見ることが出来ません。
「容姿に関する情報くらい、それとなくリサーチしておけ!」と言いたくなりますが、光源氏は過去にも似たような失敗?(※)をしており、その失態は取り返しのつかないものとなってしまいました。
(※)末摘花の姫君との黒歴s……もとい思い出。