窪田正孝『エール』に「朝ドラ史上最高」の呼び声!前評判を覆した“3つの奇跡” (5/5ページ)
119話で、奇跡的に撮れていたという志村さんの笑顔が差し込まれたことも話題を呼んだが、あまりに過酷な状況が現場の団結を生み、逆境をプラスに変える大きな力が働いたのではないかと推察する。全話を通じて「こんな時だからこそ、いいものを作ってやる」という作り手の矜持がしっかりと感じられたことも、同作が評価を受けた理由の1つだろう。
■そして起こった3つ目の奇跡……
そして3つ目の奇跡は、現実と作品テーマのリンクの妙である。
前述したとおり、世界は未曽有のコロナ禍。どうしたって人々の心は沈みがちになるが、奇しくも本作のタイトルは直球の『エール』。「音楽や芸術は、どんな時も人々を励まし得る」というテーマの作品が今、この時に作られたことに、何か運命的なものを感じざるを得ない。
物語を通じて一貫して人間に対する温かな目線が感じられた本作は、過酷な現実を生きる我々視聴者の心を本当に勇気づけてくれた。「時代性を有した作品」として、後年振り返っても、間違いなく朝ドラ史に残る1作となるはずだ。
前代未聞の困難の最中にあっても、中だるみすることなく、最後までブレずに駆け抜けてくれた『エール』。最高の作品を届けてくれた制作陣とキャストたちに、心から感謝を贈りたい!