「日本はすごい国」論にひそむ危険な兆候 (3/4ページ)

新刊JP

現代につながる重要な時代なのに、学校の歴史の授業は古い方から順を追っていきますから、どうしても学年の最後の方に、時間に追われてささっと済ますことになりがちです。

――わかります。三学期に駆け足でやるという。

坂木:個人的には歴史の授業は近現代史から勉強するべきだと思います。現代の「民主主義」や「人権主義」にたどりつくために、どんな道筋をたどってきたのかをもっと知るべきでしょう。

また、今後の生き方の羅針盤になるという意味で、歴史のような「生きた教科書」は他にありません。だからこそ、日本にとって都合の悪いことも、包み隠さずに教えていただきたいと思っています。

――また、日本の侵略史の認識などがそうですが、極端なものも含めて様々な歴史認識が乱れ飛んでいて、どれを信じていいのかわからず、歴史そのものから遠ざかってしまう人は多いのではないかと思います。歴史を学ぶ際の、見通しの悪さや雑音の多さについてご意見がありましたらうかがいたいです。

坂木:現代はインターネットなどで自分の意見に合ったものを見つけて「いいね」をする時代ですから、ある歴史上の出来事を知った最初のきっかけの時点で、おかしな思想に触れたり、その時の気分で「いいね」と思える考えに染まってしまうと、それが「刷り込み」になってしまう危うさがありますよね。

特に今は「極論」が受ける時代です。「南京事件はなかった」と断定されると「そうなんだ、知らなかった」と目からウロコのように思ってしまう。あるいは強い口調で極論を言う批評家や政治家の意見を、まるで神様の言葉のように感じて、そのまま受け取ってしまう。

本当は極論に触れたら「これは危ないな。そのまま信じない方がいいな」と思った方がいい。でも、疑うためにはある程度の知識が必要です。そのためには、回り道になるけども、歴史について信頼できる資料を読んで、様々な人の主張を見比べてみるしかない。それが歴史を自分で判断する力を養う唯一の方法なんです。

――出来事の解説だけでなく、時代の流れを抑えているのでわかりやすかったです。

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