「日本はすごい国」論にひそむ危険な兆候 (1/4ページ)

新刊JP

『Lock on!近代史』(坂木耕平著、幻冬舎刊)
『Lock on!近代史』(坂木耕平著、幻冬舎刊)

「賢者は歴史に学ぶ」と言われるし、「歴史を紐解けば未来の予想がつく」と言う人もいる。こんな言葉の裏側には、「時代は変っても、人間の営みの根本は大きくは変わらない」という考えがあるのではないだろうか。

だからこそ、歴史から未来に生きる知恵を学ぶことができればすばらしいし、逆にそれができなければ先人が犯した失敗を自分も繰り返すことになる。では歴史から我々は何を学べばいいのだろう?

『Lock on!近代史』(幻冬舎刊)はそんな疑問に答えてくれる一冊。近現代という激動の時代を紐解き、正しく理解することで、現代日本の課題や進むべき道が見えてくる。今回は著者の坂木耕平さんにインタビュー。もしかしたら、日本人は歴史から学ぶことが苦手な民族なのかもしれない。そんな気持ちになるお話をうかがった。

■ここがまずいよ!日本の歴史教育

――『Lock on!近代史』を書かれた動機についてお話をうかがいたいです。

坂木:一番は今の日本社会に抱いている危機感です。私は今年63歳になるのですが、戦後の日本が実際にたどってきた道を振り返ってみると、大日本帝国が戦前戦中に犯した「あやまち」や「失敗」がきちんとした総括もされず、きちんと反省もされずに今も繰り返され、現代の社会にもそっくり受け継がれていると感じています。

一部の学者や作家は、「歴史の反省を教訓にしよう」というメッセージを出していますが、残念ながらそれらは、多くの人の心に響かなくなっている。

――なぜ総括がされなかったのでしょうか。

坂木:日本人が高度経済成長の「成功体験」に酔って「成功の陰にある反省や教訓」を見ようとしなくなったということでしょうね。そして、国の力が低下し、様々な不都合が浮き出てくると、見たくない事から目をそらして見なくなり、「現状維持」や「安定志向」になってきた。

多くの人が、何となく「このままじゃまずいんじゃないか」と思っているでしょう。でも、薄々それに気づいていながら、そのヤバさを誰も指摘しないし声を出そうとはしません。

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