勝てば何でもありじゃない!源義経の命令で射殺された黒革縅(くろかわおどし)の鎧武者 (3/5ページ)
現代でも、たまにいますよね。例えばスポーツ観戦で、あまりの名プレーに感極まってフーリガン的なパフォーマンスを演じてしまう方とか。
そういうお調子者はたいてい警備員によってスタジアムからつまみ出されてしまうのですが、中学校の国語教科書でも、この事件についてそういう感覚で書かれたテキスト(平家物語の読書感想文)を目にしました。
曰く「TPO(時と場所と状況)をわきまえて(舞わずに)いれば、この黒革縅鎧の男も情けなく射殺されることもなかったろうに……(要約)」とのことでしたが、当時の武者たちが「情なし」と言ったのは、そういうことではないのです。
勝てば何でもいい訳ではないここで言う「情なし」つまり非難の的となっているのは、黒革縅鎧の男を射殺すように命じた義経です。
黒革縅鎧の男は50代という当時としては非常に高齢で、むしろ老人と言ってもいいでしょう。そんな彼一人を今さら射殺したところで源氏方の勝利に変わりはなく、敗者をいたぶるような振る舞いに、諸将は眉を顰めたのでした。
また古来、危険な最前線であえて飄(ひょう)げたパフォーマンスを演じることで自らの武勇を表現する慣習があり、敵もあえてその隙を衝いては殺さない、ある種の「お約束」があったのです。