「霊媒師が無免許で注射を…」法廷で明かされたヤバすぎる老人ホームの実態 (3/3ページ)
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検察官「インスリン注射してる時、患者さんからは何か言われました?」
被告人「『他の人は打ち方が早くて痛いから、ゆっくり打ってくれて助かる』と言われてました」
検察官「感謝されながら看護師を装ってて裏切ってるとは思いませんでした?」
被告人「申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
検察官「じゃあ何故続けたんですか?」
被告人「続けたくなくても続けなきゃいけない状況でした」
自分がこの職場からいなくなれば更に環境が悪化するのがわかってたんでしょうね。入居者や患者を裏切れなかったと…。
最後は裁判官から。
裁判官「動機は、ここの環境を改善したかったと?」
被告人「はい。とても預けられる環境ではなかったので」
裁判官「でも無免許で働いて、違法行為によってさらに悪くしてるとは思いませんでしたか?」
被告人「んん……言われる通りです。大変な事を起こしてしまいました…」
何か反論したそうなんだけど、グッと言葉を飲み込んだように見えました。
裁判官「で、今は介護の仕事に転職してると。似た仕事をしてるのは何故ですか?」
被告人「このような事をしたので償いたくって」
と述べたところで被告人質問は全て終了。看護師の免許を取るのは大変だからなのか、介護士として働いてるんですね。被告人のマジメさが垣間見えるところですね。
この公判から2週間後に判決が言い渡されました。結果は懲役2年執行猶予4年。環境を改善したいという動機は身勝手極まりないと裁判官に厳しく指摘されたものの、前科が無いこともあって実刑は免れました。
ルール的にはアウトなんだけど、なんとも憎めない人物なんですよ。社長に責め立てられ、現状を知って環境を変えようとして…。
本来処罰されるべきなのは社長だと思うんだけどなぁ。ちなみにこの施設はレビューサイトで星1つの超低評価になってました。知ってる人は知ってるんですね。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
大川興業所属のお笑い芸人であり、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載多数。
※写真はイメージです