若き主砲・岡本和真を開花させた教え/内田順三が激白「スター選手秘話」(3) (1/3ページ)
内田氏の球界での活躍は実に50年に及ぶ。69年オフにドラフト8位でヤクルトアトムズに入団。左投左打の外野手で、トレード先の広島で迎えた晩年は、代打の切り札として活躍した。
引退してからは広島のコーチに就任。巨人と交互に指導を続けてきた。指導者人生の中で「打撃技術に関しては教えることがなかった」とベタ褒めするのは、高橋由伸(46)一人だけだという。
「今シーズンは、阪神の大卒ドラフト1位・佐藤輝明(22)が注目されているけれど、大学時代に23本ホームランを打って6大学の記録を塗り替えたヨシノブの方が、はるかに洗練されていた。
キヨのセンターから逆方向や、松井秀喜(46)の引っ張った時の打球には度肝を抜かれていたものの、一方でヨシノブは、小学生の頃に長い竹の棒で素振りをしていた影響で、入団当時からスイングの軌道がきれいでした。とはいえ、飛距離では敵わない。そこで、東京ドームで広角に打つことを心がけて、具現化しようと。それができる選手でした。同じホームランでもスタンドまで飛べば、場外や看板までの飛距離は必要ないですからね。キャンプの全体練習後に、室内練習場で600~800本ティー打撃を繰り返すのが日課でした。類いまれなバットスイングは、人知れぬ努力で育まれてきたんです」
生え抜きで帝王学を学んだ高橋は引退後に即、監督に就任した。