新選組4人相手に死闘を演じ「ぜんざい屋事件」に散った志士・大利鼎吉が詠んだ辞世の心【後編】 (2/5ページ)
「この辺りも新選組が出張っているので、くれぐれもご用心なされ……」
この政右衛門、ぜんざい屋とは表向きで、実の名を本多内蔵助(ほんだ くらのすけ)。出自は不詳ながら、尊皇攘夷の志を同じくしていました。
「解っておる。忝(かたじけな)い」
「大坂城を乗っ取り、反撃の拠点を築き上げよう!」
「強風の夜を選んで大坂市中に火を放ち、混乱に乗じて大坂城を乗っ取る。この手で参ろう」
「「「おう!」」」
これを聞いていたのが浪人の谷川辰吉(たにがわ たつよし)。彼は新選組の大坂屯所隊長(出張所々長)である谷万太郎(たに まんたろう)の門弟で、さっそく谷へ通報。
谷万太郎。大坂の新選組隊士たちを束ね上げた豪傑の風格。Wikipediaより。
「そうか……あのぜんざい屋、ただの甘味好きではないと思っておったが、やはりか」
「どうする?賊徒は5名、こちらは現在4名。見回り中の者が戻るまで待つか?」
「いや、時間をかけるとかえって不利になるやも知れぬ。こちらは4名だが、不意を衝いてやろう」
「谷川君はここで留守をしてくれ。