カセットテープ専門店オーナー・角田太郎「テープの音の良さに、ビックリすると思いますよ」 (1/2ページ)

日刊大衆

角田太郎(撮影・弦巻勝)
角田太郎(撮影・弦巻勝)

 僕は、東京・中目黒で『waltz(ワルツ)』という店を経営しています。主に、カセットテープやラジカセを販売するショップで、そんな時代に逆行するような店をオープンさせたのは、今から約6年前のことでした。

 今、僕は51歳ですが、お金がない若い頃は、生テープにラジオから流れる曲を録音したり、レンタルしたレコードやCDをコピーしたりして聴いていました。昔はそれが一般的でしたよね。ですが、ある程度、経済力がついてレコードやCDを自由に買えるようになると、カセットテープから卒業していきます。

 そんな僕が、改めてカセットテープにひかれていったのは、2004年にサーストン・ムーアというアメリカのミュージシャンが編集した『ミックステープ』という本と出会ったことがきっかけです。それは、ムーアが周りの人たちから手描きのレタリングやイラストを施した昔のカセットテープを集めて、アートブック化したものでした。

 すでに消滅しかけているカセットテープのビジュアルが、デジタルミュージックの時代にアートになっていた。そのことが、自分の中に突き刺さったんです。そこから「今、カセットテープで音楽を流したら、どんなふうに聴こえるのだろう?」という思いが湧いてきて、ミュージックテープ……市販されている音楽入りカセットテープを世界中から買い集めていくようになりました。

 集めるのは楽しくて、やがてコレクションは1万本を超えました。当時は、投げ売り状態だったため、極めて安価に入手できたんです。

 カセットテープの魅力は、主に2つあります。1つはレコードともCDとも違う、“モノ”としての面白さ。視覚的にも触った感覚も、独特のものがありますよね。

 もう1つは音の魅力です。“音が悪い”という印象があるかもしれませんが、それはラジオを録音して、安価なラジカセで聴いていた頃の固定観念です。高級なラジカセでミュージックテープを聴くと、音の良さにビックリすると思いますよ。

■人生において音楽の優先順位が高い人こそ、アナログに回帰

 会社を辞めて独立しようと考えたのは2014年頃。

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