テオ・ヤンセンの キネティックアートかな?斬新なデザインで機能性に優れた「次世代型洋上風力発電機」

海上にそびえ立つ巨大な格子状構造を実際に目にすれば、これが何なのかを即座に判断するのは難しいだろう。まるでテオ・ヤンセンのキネティックアートのようにも見える。だがこれは、風力発電機である。
ノルウェーに拠点を置くウィンド・キャッチング・システム社が開発する次世代型の洋上風力発電タービン「ウィンドキャッチャー」は、直方体の格子の中にたくさんの風車が入っていて、これ1基あれば、8万世帯に電力を供給することができる。
どのくらい巨大なのかというと、横幅は豪華客船より長く、高さはパリのエッフェル塔(324メートル)よりも高い。
・再生可能エネルギーの問題点
世界が再生可能エネルギーに投じる資金の額は増えている。おかげでそれらは化石燃料よりもずっと環境に優しいエネルギーを供給してくれるようになったが、それぞれにそれぞれの欠点がある。
太陽光発電は時間や気象に左右されるし、水力発電は周辺の環境に大きな影響を与える。地熱発電なら高コストで容易には利用できない。
2019年の時点で世界の電力の5%をまかなうようになった風力発電も同じこと。その問題はメンテナンスなどの維持費が高くつくこと、鳥などの野生生物を巻き込んでしまうことだ。

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・次世代型風力発電機なら低コスト、高出力
ウィンド・キャッチング・システム社のロニー・カールセンCFOの説明によると、既存の洋上風力タービンをメンテするには、特殊なクレーンを搭載した船を用意せねばならない。そのため、そのライフサイクルコストの25~30%が維持費で占められているという。
しかし「ウィンドキャッチャー」にはエレベーターが内蔵されているので、そのような特殊な設備が必要なく、維持費を抑えることができる。
出力の問題もある。これまでも改善されてきた風車の発電効率だが、それでも風速が秒速12メートルを超えるとブレードに振動が生じて、それ以上回転速度を上げられなくなる。そのため、せっかくの風の力を発電につなげられない。
ところがウィンドキャッチャーの風車は従来のものに比べて小さい。おかげでさらに高回転化が可能になり、最大風速17、18メートル/秒まで出力がアップする。

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・後流効果の抑制とマルチローター効果
小さな風車は風力発電のもう1つの問題も解決する。それは「後流効果」というものだ。後流は風車を通過した気流に生じる乱れのことで、それを受けた風車の効率低下や故障につながる。
これは風車を並べて配置するような場合に大きな問題となるのだが、ウィンドキャッチャーは小さな風車が後流効果を小さく抑えてくれる。
さらに風車をまとめて設置すると、個々に設置するよりも出力が上がるという嬉しい「マルチローター効果」なるものもあるという。

image by:Wind Catching Systems AS
・周辺の野生動物に優しい
もう1つカールセンCFOが強調しているのは、周辺の野生動物に優しいという点だ。風力発電は野生の鳥に対して大きな影響を与えることが知られている(それでも火力発電所よりは全然マシ)。
風力発電のブレードは一見ゆっくりそうに見えるが、実際はそんなことはなく、かなりのスピードで回転しているのだという。
困ったことに、ぱっと見遅そうであるために、鳥は通過できると勘違いして飛び込んできてしまう。そのために衝突して事故が起きる。
その対策としてブレードを黒くして、鳥に目立つようにすることが有効と考えられているが、ウィンドキャッチャーはそれよりももっと安全だ。
その壁のような風貌のおかげで、鳥の目には従来のブレードよりも2倍よく見える。だから鳥が真っ直ぐ突っ切ろうとは思わなくなるのだ。
また空港に設置されているような鳥を検出したら空砲を鳴らすレーダーシステムも検討されているそうだ。
ウィンド・キャッチング・システム社は現在、こうした諸々の点をテストしている最中であるとのこと。すべてが計画通りに進めば、2023年か2024年には海上に巨大なウィンドキャッチャーが出現するかもしれないそうだ。
References:Windcatching / iflscience / written by hiroching / edited by parumo