〈潜入ルポ〉院内消毒業者が見たコロナ病棟の非公開真実(1)重症者部屋に「N95」プレート (2/2ページ)
私も何度か入院経験がありますが、一般病棟のナースステーションと何ら変わりません。
〈AM10時〉
「さあ、行きますか」
「病棟消毒デビューやね」
そう言う先輩たちから、患者の部屋に入るための装備の説明がありました。
入院患者の部屋には3種類あります。自覚症状がなく、強制的に入院させられている患者の部屋、その中でも入院期間の2週間目に迫った患者の部屋、そして病室の入り口に「N95」などと書かれたプレートが貼りつけてある重症者の部屋です。
どの部屋にも入室する際は、必ず雨合羽のようなビニール製の医療用装具を全身に被って後ろで止めます。そして食品加工工場からアスベスト処理、化学プラントまで幅広く使われているニトリル手袋3枚を装着。ドラッグストアで買えるような不織布マスクも必須で、さらに目を覆う透明のシールドまで着ける。軽症患者の部屋でも、この装備です。
それが重症患者の部屋ともなれば、分厚い感染症医療関係者必須のN95マスクの上からさらにマスクを2枚重ね、ヘアキャップ、シールドを着ける。まるで未知のウイルスとの戦いを描いた映画「アウトブレイク」のような重装備で臨みます。空気感染の可能性も叫ばれ、「この程度の重装備が必要だ」と先輩たちは一様に口にするのです。
入室時はためらわないことが鉄則。患者を不安にさせないためです。 しかし、暑い上にマスクで声は通りません。話しかけられても 仲間同士で何度も聞き返す。そんな異様な職場でしたが、病室はホテルのようにきれいでした。
(フリーライター・丸野裕行)
【写真ギャラリー】大きなサイズで見る