米津玄師「死神」の元ネタになっている落語の「死神」ってどんな話し? (5/7ページ)
「てめぇ、死神業界のタブーを犯しやがって!お陰で俺は減俸になっちまった。どうしてくれンだよ」
「あぁ、ごめんごめん。お陰サンでこっちは一万両入ったからサ、今度おごってやるよ」
「人間世界のカネなんざ、俺たちには意味がねぇンだよ……まぁいいさ。お前も今回の件で、相応の『代償』を支払ったンだからな」
「え?」
死神の言葉にふと恐ろしくなった男は、気がつくと真っ暗闇の中にたくさんの蝋燭が灯っている空間に来ていました。

「これは……?」
蝋燭は長いのも短いのも、また勢いよく燃えているのも消えそうなのもあり、死神はこれを「人間の寿命」だと言います。
「お前の寿命は……ホラ、これだ」
死神が指さす先には、今にも消えそうな蝋燭が、ジリジリと音を立ててか細い火を立てていました。
「おい、これ消えたらどうなるンだ?」
「消えたら死ぬよ」
「……そんなバカな!俺はまだこんなに元気だぜ?」
「元気だって何だって、死ぬヤツは死ぬ。むしろ、いかにも死にそうな病人よりも、今まで元気だったヤツがバッタリ死ぬ方が、見ていて面白ぇと思わねぇか……?」
「この野郎、悪趣味だな!」
「まぁ、死神だからな」
「……でも、どうしてこんな事に!?」
「お前ェがあの病人の布団をひっくり返ぇした時、お前はヤツと命のとっけぇ(取換)っこをしちまったのサ」
「ってぇ事は?」
「お前ェの本当の寿命はナ、ほらコレだ」
死神が指さす蝋燭は、確かにまだ半分弱ほどあって、元気よく燃えています。しかし、それはもうあの病人のもの、今さら悔やんでも始まりません。