米津玄師「死神」の元ネタになっている落語の「死神」ってどんな話し? (2/7ページ)
「まぁ聞け。死にそうな病人がいたら、俺がその枕元か足元に座る。俺が枕元に座ったら寿命だから諦めるよりないが、俺が足元に座ったら、そいつはどんな病状だろうが、必ず治る。俺が立ち去れば病人は死ぬか治るかするのだが、俺を立ち去らせるにはお決まりの呪(まじな)いがある。いいか、一度しか言わねぇからよく聞いておけ。
『あじゃらかもくれん……テケレッツの、パ』
で、ポンポンと柏手(かしわで)を二つ。これだけでいい」
まぁ実際には、それに医者らしい勿体をつけて、訝しまれないよう人目を避ける必要がありますが、やる事自体はとても簡単です。
「へぇ、それだけでいいのかい?『あじゃらかもくれん……テケレッツの、パ』(柏手2回)……そんなバカな……あれ、おい死神!」
呪文を聞いたから、死神は立ち去ってしまったのです。これはもしかしたら本当かも知れないと、男は医者を始めてみることにしました。
医者を始めてみたところ……さて、何の心得もないけれど医者をはじめてみたところ、さっそく日本橋にある大店の番頭さんがやってきて「どこの医者にも匙を投げられてしまったのだが、どうか主人を診て欲しい」と懇願します。
「はいはい、もちろん行きますよ」
果たして行ってみると、都合よく病人の足元に死神が座っているので「あぁ、こんなものは簡単に治ります」と啖呵を切って「これから秘術を施すから」とか何とか言って、人を遠ざけました。
そして例の「あじゃらかもくれん……テケレッツの、パ(柏手2回)」をやってみると、果たして死神は立ち去り、病人はケロリと治って「ウナギが食いたい」なんて言い出す始末。