「言い間違い」では済まないバッハ会長の発言、日本国民の怒りが増幅していったワケ (2/3ページ)
IOCや日本政府・組織委に対して「日本の安全よりも五輪開催による利益が優先」という見方が強まる中、5月5日の米ワシントン・ポストは開催に苦言を呈し、バッハ会長が利益だけを追求する「ぼったくり男爵」であると評したことが話題になり、国内でのIOCやバッハ会長に対する反感はさらに強まった。
その後、バッハ会長は7月8日の5者協議で、「緊急事態宣言はどういうことなのか。それが五輪・パラリンピックにどのようなインパクトをもたらすのか、お話をうかがいたい」と発言。4月の記者会見でも「緊急事態宣言はオリンピックとは関係ない」と発言して非難を浴びていたこともあり、「あまりにも日本の事情を分かっていない」と反感を買った。また、同協議内で、「東京などの感染状況が改善されれば無観客を見直すべきだ」「日本のプロスポーツが有観客で開催されている。五輪と別の対応で理解に苦しむ」と述べており、これも非難の的となっている。
そんなバッハ会長が今月16日に広島を訪問することが決定したと報じられると、今度は「ノーベル平和賞狙い」であるとの見方が加わり、名声を得るための策略として負の遺産を利用すると捉えられ、さらに印象が悪化。地元市民団体は12日、被爆地を政治利用し被爆者を冒とくするものだとしてバッハ会長の訪問中止を求め、広島県と市に申し入れた。
そして13日、バッハ会長の「チャイニーズピープル」の言い間違えによって国民の反感はピークに達し、以前から指摘されていた中国びいきとの声も噴出した。憤る声の中には、もともと中国人に偏見があったり、日本人を含むアジア人へのヘイトクライムの被害の原因になったとして中国人に拒絶意識がある人も混在しており、こうした人たちの怒りの声は特に勢いの強さがうかがえた。
コロナ禍以前は、国内で特に大きく取り上げられることもなかったバッハ会長だが、今や一挙手一投足に注目が集まり、批判の的になっている。こうした流れから見ても分かるように、人は不信感につながることが度重なると、悪い印象が定着してしまい、言動や行動が何かと悪い方向に捉えられやすくなってしまう傾向がある。そうなると、たとえ捉え方に誤解があったことが訂正されても、一度固定されてしまった悪印象は簡単に払拭されない。