武士の身分を剥奪、首級を晒され…明治時代、日本の法律整備を急いだ江藤新平の最期 (2/4ページ)
「誤訳も亦(また)妨げず、唯速訳せよ」
【意訳】多少のミスを気にすることなく、とにかく早く翻訳しなさい!
そもそも人間が完璧でない以上、その人間が作ったルールなんて不備があって当然。たといそれを完璧に翻訳できたところで、その不備を忠実になぞるだけ……つまり翻訳は巧みであっても、世の役には立たない自己満足に終わってしまいます。
ルールなんてものは実際に使っていく中で改良・洗練されていくものですから、まずは最低限使える状態にまでは仕上げなくてはお話しになりません。
「どんな形でも、とりあえず日本語にさえしておけば、みんながツッコミを入れて改善しやすくなるだろう」
翻訳に没頭する江藤新平(イメージ)萬斎芳幾「東京日々新聞 六百五十六号」
民法の概念を逸早く世に広め、実際に運用することでフィードバックを集め、より日本の実情に即した形に作り上げていく第一歩としての翻訳ですから、大事なのは「ミスがないこと」よりも「みんなが理解して運用し、改善できるようにすること」なのです。