日本経済の必須スキル!渋沢栄一が明治時代に導入した簿記システムのエピソード (3/4ページ)
不問に処そうと思ったものの……
「アンタのそういう気取りすましたところが気に入らないのだ!」
飛んでくる拳を見据えながら、若い頃に武芸を叩き込まれていた栄一はこれをかわしました。
(取りおさえるのは訳もないが、痛めつけたり恥をかかせたりしたら後がこじれそうだし、疲れて怒りが収まるのを待つとしよう)
出納局長は栄一より若く、タッパ(身長)もありましたが、どうも武芸などの心得はないようで、怒りで動作がブレています。
(格闘は、怒りに呑まれたヤツが負ける)
果たして攻撃が当たらないまま、振り上げた拳のやり場に困った様子の出納局長に、栄一は一喝しました。
「ここはお役所ですぞ。卑しい人間の真似事はおやめなさい!」
これが決定打となり、出納局長は何も言えず退室して行ったのでした。
その後、出納局長について「上司に楯突いたばかりか、(未遂とは言え)暴力を振るうとはけしからん」などと処分を求める声もあったようで、栄一としては「こんな下らないことで、有為の人材を失うのはもったいない」と不問に処したかったようです。
しかし、口の早い者が太政官(だじょうかん。政府の最高長官)にまで事の次第を報告してしまったがためにもみ消せなくなり、結局この出納局長は免職となってしまったのでした。