透ける小物を描くことで浮世絵師・喜多川歌麿が高めた浮世絵の表現力と芸術的価値 (4/5ページ)
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喜多川歌麿
針仕事(目部分) 画:喜多川歌麿 出典:ニューヨーク公共図書館
この女性の生地を見る目つきが分かりますか?その真剣な眼差しが着物仕立ての職人としてのプライドをも表しているようです。
この絵が描かれたのは18世紀終わり“寛政の改革”のすぐ後のことでした。その頃松平定信が風紀を厳しく取り締まり「美人画」もその対象となっていました。
このことから東洲斎写楽を代表とするような「役者絵」が描かれていくようになるのですが、喜多川歌麿は「美人画」を追求することを辞めず、町人たちの普段の生活の中に「美人画」の要素を発見していったのです。
このころから歌麿の作品の中には“母と子”の姿を描く作品が増えていきます。
この『針仕事』という作品は、この布が透明感のない普通の絹の生地だとしたらそもそも存在しない作品です。
この布を敢えて透明感のある生地にしたことから、薄い生地を透かして見ている女性の姿が見えて、この女性の生命力や、たおやかな腕からほんのりとした色気を感じることが出来るのです。