始まりはライブで聴いた印象的な曲だった――小説第2作『これはただの夏』を燃え殻さんに聞く(1) (2/5ページ)
いつか小説ができたら、けものの音楽を使わせてくださいという、だいたいは実現しない約束をして(笑)、小説を書いて、それが実現してしまったということですね。
――「ただの夏」という曲のほかに、モチーフとなるものはあったのですか?
燃え殻:もう一つは、『ボクたちはみんな大人になれなかった』の主人公が、あの後どうしたんだろうということを考えていたんですよね。おそらく彼は何の決着もつけず、東京にいてこまされながら働いているんだろうなと思うんですが、そんな彼をぼんやりと主人公に投影してみようと。
――『ボクたちはみんな大人になれなかった』の続編とはいかないまでも、つながりを持たせたわけですね。
燃え殻:うっすらとつながっていますね。
――この物語で起こる出来事であったり、登場人物であったりに現実のモチーフがありそうな雰囲気もあるのですが、実際はいかがでしょうか?
燃え殻:実はないんですよ。『ボクたちはみんな大人になれなかった』のときは細部までモチーフと呼べるものがあったんだけど、今回はないです。
登場人物にしても、モデルになったような人はいません。そういう意味では自分の中で自由に作っていったところがありますし、なんとなく全員に自分の要素が入っているところがありますね。
――主人公だけでなく。
燃え殻:そうです。主人公の中学生の頃の友人で引きこもりだった男の子・ホクトだったり、末期ガンを宣告された大関だったり、そういった登場人物たちにも感情移入しながら描きました。