始まりはライブで聴いた印象的な曲だった――小説第2作『これはただの夏』を燃え殻さんに聞く(1) (1/5ページ)

新刊JP

『これはただの夏』著者の燃え殻さん
『これはただの夏』著者の燃え殻さん

Netflixでの映画化も決定している『ボクたちはみんな大人になれなかった』から4年。燃え殻さんが、ひと夏の印象的な日々を描いた新たな小説『これはただの夏』(新潮社刊)を刊行した。

本書で描かれるのは、テレビ制作会社の仕事に忙殺され、生きづらさを抱えながらなんとなく生きてきた主人公の「ボク」が過ごした、取引先の披露宴で出会った女性・優香、同じマンションに住む小学生の女の子・明菜、末期がんが見つかったテレビ局のディレクター・大関との特別ではない夏の数日間。
出会いと別れは唐突にやってくる。彼らが過ごした、ただの夏の日々。それが、私たち読者の胸を締めつける。もう二度と同じ時間はやってこない。だからこそ愛おしく、そして切ないのかもしれない。

新刊JP編集部は作者の燃え殻さんにこの情緒あふれる物語についてインタビューを行った。今回はその前編だ。

(聞き手・文/金井元貴)

■「ただの夏」という曲にインスピレーションを受けて生まれた作品

――まず、この小説の着想からお聞かせください。

燃え殻:モチーフになった曲があります。「けもの」というアーティストの「ただの夏」という曲なんですけど、それを新代田のFeverというライブハウスで聞いたんです。

もともと、けものの青羊さんが『ボクたちはみんな大人になれなかった』にインスピレーションを受けて作った曲があるということで、ライブを観に行くことになったんですが、そこで「ただの夏」という曲を聞いたときに、過去の恋愛や失恋をはじめ、自分の思い出が脳裏に巡ってきたんです。

すごく不思議なテイストの曲で、鎮魂歌のようにも思えましたし、夏から想起される物悲しさを感じるところがあって、印象的で。「この曲のタイトルをどこかで使ってもいいですか?」という話を青羊さんとしたのが、2年前でした。

――「ただの夏」はこの小説のPVでも使われていますね。

燃え殻:そうです。

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