ヘレン・ケラーとエマニュエル・スウェーデンボルグの神秘思想 (1/4ページ)

心に残る家族葬

ヘレン・ケラーとエマニュエル・スウェーデンボルグの神秘思想

「奇跡の人」ヘレン・ケラー(1880〜1968)が、キリスト教の世界で異端とされている神秘思想家 スウェーデンボルグの信奉者であったことはあまり知られていない。ヘレンのエピソードといえば、アン・マンスフィールド・サリバン先生(1866〜1936)との交流がよく語られる。しかしサリバン先生がヘレンの「心」を解き放ったとすれば、スウェーデンボルグはヘレンの「魂」を解き放った存在であった。

■サリバン先生とスウェーデンボルグという二人の師

ヘレン・ケラーは盲・唖・聾の三重苦を背負った人生であった。彼女は世界を認識する能力のほとんどを持つことなく、まさにその心も闇に閉ざされていた。ヘレンは四股切断の過酷な運命を生きる中村久子(1897〜1968)と出会い、「私より不幸な人」と語ったというが、健常者の身で想像するなら、闇と無音の世界こそより恐ろしいと思える。しかし不幸は幸福を知るチャンスでもある。久子が魂の彷徨の末に「歎異抄」を知り、親鸞(1173~1263)を信奉したように、ヘレンもスウェーデンボルグの思想に深く傾倒した。

ヘレンがその生涯で最も影響を受けた人物は言うまでもなく、サリバン先生である。彼女はまさに闇に閉ざされていたヘレンの心に光を灯した人であった。そのサリバン先生に次ぐ人物として、ジョン・ヒッツがあげられる。ヒッツはヘレンにスウェーデンボルグが説く独特のキリスト教思想を教えた人物である。しかしサリバン先生に比べヒッツの知名度は低い。サリバン先生とのドラマはあまりに感動的であり、ヒッツの影が薄くなるのは当然ではあるが、やはりテーマが宗教であることが、ある種の人たちから敬遠される要素なのだろう。それでも従来のカトリックや仏教、イスラムならそうはならないと思われる。スウェーデンボルグの神秘思想はキリスト教からは異端として扱われている。サリバン先生もヘレンのスウェーデンボルグへの崇拝ぶりを心配していたという。

■霊界と内なる世界

エマニュエル・スウェーデンボルグ(1688 〜1772)の前半生は鉱山技師であり科学者だった。化学、地質学、天文学、解剖学など、様々な分野で先駆的な業績を残している。特に大脳皮質論の先駆性は高く評価されている。

「ヘレン・ケラーとエマニュエル・スウェーデンボルグの神秘思想」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧