様々な情報を持つ遺体 考古学的に貴重な資料となった数々の遺体 (1/2ページ)
人は、その体や頭脳に実に様々な情報を持っている。体の動かし方から職業が見えるし、どこかを痛めていればそれも分かる。その人が生きてきた背景、文化も教えてくれる。それは遺体となっても変わらない。歴史的、考古学的に貴重な資料となりうる遺体は、世界各地で発見されている。その中の数例を、お伝えしよう。
考古学的に貴重な資料となりうる遺体は世界各地で発見されている
■世界最古のお墓から子供の遺体
アフリカはケニア、その洞窟から約7万8,000年前のお墓が見つかった。アフリカで発見されたものとしては最古となるそのお墓に埋葬されていたのは、2、3歳の子供だった。その状態は、埋葬用に彫った穴に遺体を埋め、土で覆うという明らかにお墓として用意されたことが分かるものだった。この子供がどんな経緯で亡くなったのか、まだはっきりとしていない。しかし、この子供が周囲に愛され、大切に思われていたことは間違いない。動物の皮のようなもので作られた布でていねいにくるまれ、頭部は枕のようなもので支えられていた痕跡があったのだ。7万8,000年前のホモ・サピエンス、私たちの祖先というべき彼らの時代に、すでに人の死に際して葬儀を行うという意識があったことは、驚嘆すべきことだろう。
■4000年前の欧州を治めた女王
スペイン南東部で発見された、約4000年前の女性の遺体。彼女が、実は欧州の一国を治めていたのではないか、という話が出てきている。彼女の遺体とともに、もう一体男性が埋葬されていたが、彼はおそらくその配偶者と見られている。装飾品などから見ても、女性の方が社会的に上位にいた可能性がある。もちろん、実際は王の妻であったという考えも捨てきれない。しかし、この地域で繁栄していた文化では、男性よりも女性の方が早く成人と見なされていた。たとえ10歳に満たずとも、女の子が亡くなれば、ナイフなどとともに埋葬されていた。また、身分の高い女性は、ほかの女性より多くの肉を食べていたとされる。これらを考えると、やはり女性が政治的権力を保持していたのでは、と推測するのは自然なことだろう。これまで国家権力イコール男性優位とされてきたのは事実であり、また現代でもその傾向が強いままだが、そこに一石を投じる発見であることは間違いないだろう。