これは驚き!江戸時代初期の蕎麦は、茹でずに蒸していたんだって (3/5ページ)
(あぁ、食った呑んだ……)
そこで男は足元の地べたを這っていた馬陸(ヤスデ)という虫をつかまえ、半分ばかり食い残しておいた蕎麦の椀に放り込んで店主を呼びます。
男「おい、この辺りには馬陸が多いのか(原文:このあたりには、やすでといふ虫多くありや)」
店主「へぃ、多うございます(原文:なるほど、大分ござります)」
男「馬陸は踏んづけると変な匂いを発する毒虫じゃな(原文:あれは、ことの外くさきものにて毒なり)」
店主「へぇ、お世辞にも香(かぐわ)しくはありませんな(原文:なるほど、くさきものにてござる)」
そこで男はドヤ顔で馬陸の入った蕎麦椀を突き出して示しました。
「そんな毒虫を蕎麦切に入れて、人に食わせるとはどういう了見だ。こんなサービスの悪い店に、鐚(びた)一文も払えるか!」
【原文】「さやうなる毒、そば切に入れ、人に食はせてよきか」とさまゞゝねだり、「代物一文も置くまじき」といふ。
……要するにイチャモンをつけて飲食代を踏み倒そうとしたのですが、こんな手合いには慣れたもの、店主は毅然と反論します。
言いがかりをつけて店を出ようとする男と、引き止める店主。『かの子ばなし』より
「そういう三文芝居は余所でやんなさい。ここらじゃ子供も騙せませんぜ」
【原文】「さやうのわやは、外にて申されよ。