「車ハッキング窃盗団」元締めが最先端手口を不敵暴露(1)新手の窃盗手口「CANインベーダー」 (1/2ページ)
玄関先の駐車スペースに止めたはずの愛車が、一夜にして忽然と消える。それも高級車だったとしたら、驚きと憤激はいかばかりか。今、大流行している盗犯手口は、IT社会の最先端技術を活用した狡猾なもの。窃盗グループ自らが、その詳細をバラす。
誰もが寝静まった深夜。東南アジア系外国人の男2人組が、都心から1時間半ほど離れた住宅街を徘徊していた。ターゲットは「レクサスRX200t」。あらかじめ洋風の二階建て一軒家の軒先に止めてある高級車はチェック済みだ。目的地に到着するや、アイコンタクトを交わす。一方は周辺の見張り役、そしてもう一方が車の助手席下にしゃがみ込むや、ズボンのポケットからマイナスドライバーを取り出した。
クイッ、クイッ、クイッと慣れた手つきでフロントバンパーのボルトとネジを外す。必要以上に音を立てることなく、留め具を失ったバンパーの中を覗けば、車の配線がムキ出しに。おもむろに取り出したモバイルバッテリー型の「発信機」をコネクターに繫げてボタンを押すなり、ガチャッとドアロックが解除された。すぐさま運転席に乗り込んで、エンジンを始動。2人組は車ごと、まんまと走り去っていった。「作業」開始からわずか5分弱の出来事だった─。
「これは『CANインベーダー』という新手の窃盗手口です」
こう眉をしかめるのは、警視庁関係者だ。
「今年1月から8月の間に認知された自動車窃盗数は3286件。対して検挙数はその半分強にあたる1798件のみでした。日中よりも夜間に被害は集中しており、狙われるのはランドクルーザー、レクサス、プリウスなどトヨタ製の高級車が中心。最近の車はコンピュータプログラムで制御されているものが主流です。これはその仕組みを巧みに利用した犯罪で、足がつきにくいんです」
冒頭の手口で実際に盗難被害に遭った、埼玉県在住の30代男性がタメ息をつく。
「気が付いたのは朝の通勤前で、家を出るなり呆然と立ち尽くしてしまいました。