ありがたや!部下にとっておきの煙草を惜しみなく分け与えた西郷どんのエピソード (4/5ページ)

Japaaan

自分の分は一服だけ吸うと、残りは大切にしまい込んで

「此物(こんと)は先生が與(く)いやつたとぢやツて、死ぬまで御神符(おまもり)にすッとぢやらい

仲間にそう語って、最期まで大切にしたそうです(恐らく討死したものと思われますが、記録がありません)。

終わりに

城山籠城の際、諸物窮乏の中にも、喫煙者は煙草の缺乏を苦しみ、草木の葉を乾して之を吸用す。一日根占潔(桐野の甥)といふもの思ふには、今時煙草を所持するは、西郷先生の外ある可からずと。因つて先生の居所大手口(照国社裏手上り口)の上なる兒玉邸(今、鉄砲臺あり)を訪うて、「先生煙草が無かことなりもしたから、少し給はんか」と懇請しければ、翁は、「さうや、そいなら、善か品を呈げんなら」と言つゝ、やをら身を起して、背ろの袋戸棚より上等刻煙草の袋を取り出し、封を切り、大部分を鷲攫みにして與へける。根占は、翁が座右常用の煙草にても與へらるゝと思ひの外、珍蔵の優良品を惜氣もなく惠まるゝに會うて、感激の餘り、おし戴いて還り、其を吸はゞこそ、「此物は先生が與いやつたとぢやツて、死ぬまで御神符にすッとぢやらい」と傍輩に語つて大切にしたりと。(後略)

※参考文献「逸話」より

非喫煙者からすれば、ただ「西郷さんに頼んで、煙草を分けてもらった」だけに過ぎないエピソードですが、喫煙者にしてみれば、まさに干天の慈雨にも等しい喜びだったことでしょう。

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