恋に臆病になっている女性へ。読書の秋に読みたい「純愛小説」3選 (5/5ページ)
あなたにも、自分で決めて歩んできた道なのに、ふとしたきっかけにグラグラと足元が揺らぐように思えた経験はありませんか?
前を向いて歩んでいたとしても、全く悔いのない人生なんてないのかもしれないと、読みながらふと思いました。
物語は、30代になった亜紀へと移ります。亜紀は、新しくできた恋人、純平との結婚が自然な運命だと受け入れようとしていました。
しかし、彼は飲酒運転による交通事故を起こし、2人は別れることになります。実は、純平が起こした事故の被害者は、亜紀が仲良くしていた受験生の少女の明日香だったのです。
事故後、明日香が亜紀に宛てて書いた手紙には、自分の人生に降りかかる「運命」について、どう向き合うべきなのかがしたためられていました。
冬姉ちゃん、人と人とのあいだには、きっと取返しのつかないことばかり起きるけれど、それを取り返そうとするのは無理なのだから、取り返そうなんてしない方がいいんだと私は思います。大切なのは、その悲しい出来事を乗り越えて、そんな出来事なんかよりもっともっと大きな運命みたいなものを受け入れることなんだと思います。(P.207)
自分の運命に迷う亜紀はもちろん、私たち読者にも刺さる明日香の言葉は、この物語における「運命」をさらに印象づけます。
また、別の人と結婚して幸せな生活を送っていたかと思われた康も、離婚を経験し、さらに癌に侵されていました。
一度は他人となった2人は、その後、過酷な運命に翻弄されながらも再び出会い、本物の「純愛」に辿りつきます。「純愛」は回り道をしてつかむこともあるのだということを、私はこの小説から教えられました。
あなたには別れてからも、ずっと忘れられない人はいますか?
この小説のように再び巡り合うことはなくても、思い出の中の「純愛」は決して色あせることはありません。この物語は、そうした自分の運命について考え、本当の「純愛」に気づかせてくれる作品です。
■それぞれの「純愛」の形を教えてくれる物語
第1回では、恋に臆病になっている女性や、恋愛を超えた夫婦の愛、そして、1人の女性の運命を描いた作品を紹介しました。みなさんが少しでも読んでみたいと思った作品があれば幸いです。
次回のテーマは「失恋」。冬が近づき肌寒くなった今こそ読みたくなる作品をご紹介したいと思います。お楽しみに!
(きりん)