「雨のバス停で、熱を出した息子を抱く私。タクシーに乗るか悩んでいると、隣のおばさんが手をあげて...」(神奈川県・40代女性) (2/3ページ)
すると、私の隣で同じくバスを待っていた50代くらいの女性がスッと手を挙げたんです。
「あ......先を越されてしまった」
私はそんなことを思いました。
「知り合いのふりをするからね」あのタクシーは諦めよう......そう考えていた私に、その女性はタクシーが停まるまでの短い時間でこう言いました。
「あなたどこまで? 一緒に乗って! タクシーは相乗り嫌がるから、知り合いのふりをするからね」
彼女が言い終わると同時に、タクシーが目の前に停車。
私は訳も分からぬまま、あれよあれよという間にタクシーに乗り込んでいました。

それからその女性は運転手さんに私が途中で降りる事を伝えてくれ、今あったばかりとは思われないように会話を弾ませてくれました。
いきなり見ず知らずの人に親切にされた私は心の準備がまるでできておらず、彼女にぎこちない返事をするばかりでした。
その後、5分ほどで私の家の近くにつき、タクシーを停めて貰いました。
「いつかあなたのような......」本当は盛大に感謝の言葉を送りたかったけれど、タクシーの運転手さんに相乗りだとバレては女性が何か言われてしまうかもしれないと思い、私は言葉少なにお礼を言うしかありません。
その上、運賃を払おうと差し出した手も彼女に押し返され、後続車がいたこともあって私は慌ただしくタクシーを降りることになりました。
女性のことは横顔をちらりと見たくらいではっきりと思い出せませんが、あの時の親切を思うたび今でも涙が出てきます。
あの時の方、その節はありがとうございました。おかげさまで息子はもう14歳になりました。
私はあなたの粋な親切を子供達に聞かせています。いつか私も、あなたの様なかっこいい女性になれたらと思ってます。