あなたの「金田一耕助の時代」はいつ?~復古神道と『ひぐらしのなく頃に』~ (2/4ページ)

Japaaan

それで『ひぐらしのなく頃に』ですが、皆さんはこの作品の舞台設定はいつ頃だと思いますか? イメージしてみて下さい。

答えは、1983(昭和58)年です。

これを、妥当な時代設定だと感じるかどうかは人それぞれですし、作品を見てみなければ判断のしようもないですが、私はこの設定に驚きました。1983(昭和58)年なんてつい最近の時代だと思っていたからです。

ちなみに作者がこの時代設定を選んだのは、ミステリ作品として必然的な理由があったわけではなく「ノスタルジーを感じられる時代にした」からだそうです。イメージ優先の設定だったんですね。

これを知って驚いたのです。私にとってはついこの間と感じていた1983(昭和58)年が、若い人から見ると自分にとっての「戦前」にあたるイメージなのだなと思いました。つまりそれが、『ひぐらし』の作者にとって、そして私にとっての、それぞれの「金田一耕助の時代」なのだということです。

古代こそが理想!それが復古神道

しかしこういうジェネレーションギャップは、今に始まったことではありません。私にとっては終戦直後や高度経済成長期なんてとても古い時代の話に感じられますが、もっと年配の人から見れば、つい最近のように感じられるでしょう。

その時代の空気を、多かれ少なかれ「肌で感じている」と、その時代もごく身近に感じられますね。

逆に、「肌で感じて」いない時代というのは、どこか遠いもののように思えます。そして、頭の中で勝手なイメージで染め上げられてしまうことがあると思います。

その最たるものが、復古主義でしょう。

復古主義は、古い時代を理想的な時代だと考えます。これは東西を問わず昔からある考え方で、たぶん世界史的に最も有名なのは西洋のルネッサンスでしょう。ルネッサンス期には古代が黄金時代とされ、没落後の「中世」は暗黒時代とされました。

また中国にもこういう考え方があります。孟子は尭(唐)、舜(虞)、と夏、殷、周の三代を合わせた「唐廣三代」の時代を、古代の太平の世として讃えています。

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